はじめに

スマートフォンアプリの普及に伴い、アプリ内課金やアプリ外課金といった言葉が一般的になってきました。しかし、両者の違いを明確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、アプリ内課金とアプリ外課金の具体的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そしてどちらを選ぶべきかについて詳しく解説します。

アプリ内課金とは？

アプリ内課金とは、アプリをダウンロードした後に、アプリ内でアイテムや機能を購入する課金方式です。ゲームアプリでキャラクターコスチュームを購入したり、音楽アプリで楽曲を購入したりするなどが代表的な例です。

メリット

• 利用者の利便性が高い: アプリを一度ダウンロードすれば、追加購入もアプリ内で完結するため、ユーザーにとって非常に便利です。
• 収益モデルとして確立: ゲーム業界を中心に、アプリ内課金は安定した収益モデルとして広く利用されています。

デメリット

• プラットフォーム手数料が高い: AppleやGoogleなどのプラットフォームに高額な手数料を支払う必要があるため、開発者の収益を圧迫する可能性があります。
• 不正利用のリスク: アプリ内課金は不正利用の対象になりやすく、対策が複雑になる可能性があります。

アプリ外課金とは？

アプリ外課金は、アプリの外にあるウェブサイトや別のアプリを経由して課金を行う方式です。アプリ内課金の手数料問題を回避するために注目されている手法です。

メリット

• プラットフォーム手数料を抑えられる: アプリストアの手数料を回避できるため、開発者の収益を向上させることができます。
• 柔軟な決済方法: クレジットカードだけでなく、コンビニ決済やキャリア決済など、様々な決済方法に対応できます。

デメリット

• ユーザー体験が低下する可能性: アプリの外に遷移するため、ユーザー体験が低下する可能性があります。
• システム構築が複雑: アプリ内課金と比べて、システム構築が複雑になる可能性があります。

アプリ内課金とアプリ外課金の比較表

比較項目	アプリ内課金	アプリ外課金
課金場所	アプリ内	アプリ外 (ウェブサイトなど)
プラットフォーム手数料	高い	低い
ユーザー体験	高い	低くなる可能性あり
決済方法	プラットフォームが提供する決済方法	多様な決済方法に対応可能
システム構築	比較的簡単	複雑

アプリ内課金の手数料を回避する方法

この記事では、アプリ内課金の手数料を回避する方法としては、大きく分けて以下の2つの方法を紹介します。

アプリ外課金への移行：手数料を大幅に削減できるが、注意点も

アプリ外課金とは、アプリ内ではなく、自社のWebサイトや別のプラットフォームで決済を行う方法です。

メリット

• 手数料の大幅削減: アプリストアの手数料を回避できるため、収益率を大幅に向上させることができます。
• 決済方法の自由度: クレジットカードだけでなく、銀行振込やコンビニ決済など、さまざまな決済方法に対応できます。
• マーケティングの自由度: アプリストアの制約を受けずに、自由なマーケティング活動を行うことができます。

デメリット

• ユーザー体験の低下: アプリから外部サイトに遷移する手間がかかり、ユーザー体験が低下する可能性があります。
• セキュリティリスクの増大: 自社で決済システムを構築・管理する必要があるため、セキュリティ対策が必須となります。
• 集客の難しさ: アプリストアの検索機能を利用できなくなるため、新たな集客方法を検討する必要があります。

具体的な方法

• アプリ内からWebサイトへの誘導: アプリ内で、自社のWebサイトへのリンクを設置し、決済を促します。
• メールマガジン: アプリ内でメールアドレスを登録してもらい、メールマガジンで商品やサービスの案内を行い、外部の決済ページに誘導します。

クレジットカード決済の導入：アプリストアの手数料を回避できるが、コストとセキュリティ対策が必要

アプリストアの決済システムではなく、自社の決済システムでクレジットカード決済を導入する方法です。

メリット

• アプリストアの手数料を回避: アプリストアの手数料を回避できるため、収益率の向上につながります。
• 決済データの活用: 決済データを自社で管理できるため、マーケティングに活用できます。

デメリット

• 導入コスト: 決済システムの導入や維持には、初期費用やランニングコストがかかります。
• セキュリティ対策: クレジットカード情報を取り扱うため、高度なセキュリティ対策が必須です。
• 複雑な手続き: 決済システムの導入には、さまざまな手続きが必要となります。

具体的な方法

• 決済ゲートウェイの導入: StripeやPayPalなどの決済ゲートウェイを導入することで、比較的簡単にクレジットカード決済を導入できます。
• 自社で決済システムを構築: 大規模なサービスの場合は、自社で決済システムを構築することも可能です。

その他の注意点

• アプリストアの規約: アプリストアの規約は頻繁に更新されるため、常に最新の情報を確認し、規約に違反しないように注意しましょう。
• ユーザーの利便性: 手数料を回避するために、ユーザーの利便性を損なうような方法を取るのは避けましょう。
• 法規制: 決済に関する法律や規制を遵守する必要があります。

どちらを選ぶべきか？

アプリ内課金とアプリ外課金、どちらを選ぶべきかは、アプリの種類やターゲットユーザー、そして開発者の収益目標によって異なります。

• ユーザー体験を重視する場合: アプリ内課金
• 収益性を重視する場合: アプリ外課金
• 多様な決済方法に対応したい場合: アプリ外課金

近年では、アプリ内課金とアプリ外課金を併用するケースも増えてきています。例えば、無料のアプリ本体はアプリ内課金で提供し、有料のサブスクリプションサービスはアプリ外課金で提供するといった方法です。

まとめ

アプリ内課金とアプリ外課金は、それぞれメリットとデメリットがあります。どちらを選ぶべきか慎重に検討し、自社のアプリに最適な課金方式を選択することが重要です。